●3歳ボク学習法

おそらく一番身近なバイリンガル実例『3ナイ主婦が息子に小5でTOEIC920点小6で英検1級をとらせた話』タエ

庶民でもできる英語教育、ただし親は要努力

本書は、子供をバイリンガルにした実績をもとに、親が英語を話せない家庭でも実践できるメソッドや親のマインド、壁に直面した時の対処法、実際の経費など、子供と真正面から向き合った専業主婦ならではの視点で解説されています。

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幼児に英語教育を実践している立場で読むと、本書のポイントは3つ

  1. 「英語が話せてスゴい」と褒めない
  2. 『小1の壁』対処法は会話量の確保
  3. 客観的に英語育児を見ていた夫の感想

著者が『自分のタメならできないが、子供のタメだからできた』と書いているとおり、子供への愛情から、育児にとても熱心に取り組んでいることが分かります。かといって、子供本人が英語教育に苦痛を感じていないのが、後を追う我々が見習うべき点です。

この本のおすすめ度 ★★★

この本をおすすめする人

  • 子供にバイリンガル教育を実践している人
  • 就学による英語学習の壁について知りたい人

あくまで一例、ただし日本の一般的な家庭

著者は、自称お金学歴海外経験もない「3ナイ」主婦のタエさん。

世帯年収500万円、夫婦ともに高卒、英語教育をはじめた時点で海外旅行の経験もなし、という家庭。ただ、おそらく日本の一般的な家庭がこの「3ナイ」あてはまるのではないかと思います。

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本書を読むと、日本の普通の家庭でも、筆者のバイリンガルプログラムを参考にすることで、「子供を純国産のバイリンガルにすることができる」という希望が持てます。

子供を純国産バイリンガルにするポイント

著者の実例では、子供が2歳10か月のころから英語教育に取り組み、5歳になる頃には自分の考えを英語で話せるようになっていたそうです。

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その英語教育のメソッドは次のとおり

  1. ネイティブの子供と同じ英語環境をつくる【インプット量の確保】
  2. 親子の会話の2割を英語に置き換える【アウトプットの機会づくり】

本書には、具体的なインプット量確保の方法や子供をその気にさせるコツ、オススメの教材やコンテンツなどが詳しく書かれています。今まさにバイリンガル教育に取り組んでいる親がすぐに参考にできる内容です。

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また、アウトプットの機会として親子の会話の一部を英語に置き換えています。

バイリンガル教本の中には、「英語が堪能でない親は話しかけない方がいい。親の変な発音や間違った文法を覚えてしまう。」と書かれているものもあります。しかし著者は、「英語が話せない親が取り組むのでネイティブと同等にはならない。」と受け入れたうえで取り組みました。

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『英会話に自信のない親が子供に話しかけをするべきかどうか』、その選択は、子供にどの程度のレベル英語を求めるのか、親が話しかけなくてもアウトプット環境を整えられるのか、によって変わってくるのだと思います。

そして、本書のポイントは3つ。

「英語が話せてスゴい」と褒めない

『英語を勉強した』という認識がない筆者の子供。家庭の中に英語環境をつくり、子供との会話に英語を取り入れているものの、それを『普通のこと』として認識させるため、英語が話せても褒めないそうです。英語は楽しくするものでも勉強するものでもない、単に子供が知りたいことが英語だっただけ、というスタイル。褒めるのは、言語に関係なく良いことをしたとき。

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『小1の壁』対処法は会話量の確保

就学にともない英語の発話が減る傾向があり、『小1の壁』と呼ばれるそうです。おそらく、就学前の集中的な英語時間が、就学後、友達や宿題の時間に置き換わってしまうことが原因ではないかと推測されます。著者はこの壁に対して、「親子の英会話量2割増」「オンライン講師による会話時間の追加」により克服しています。オンライン英会話は価格面でも取り組みやすく、学習したいテーマごとに先生を分けるなど工夫していました。

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客観的に英語育児を見ていた夫の感想…

子供にとっては自然な英語環境だったようですが、英語育児に参加していない夫の感想は、『ずーっと英語』。家に帰ってきても、出掛ける車の中も、日本語がほぼ英語に置き換わっていたそうです。この感想から推測すると、筆者は日常の会話のほとんどを英語で話すことができていた、ということになります。著者は学歴がないと言いつつも、産後に英検2級を取得しており、自身の英語を高める努力もしています。つまり、子供をバイリンガルにするためには、親の英語力の向上が必要条件だといえます。

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働き盛り子育て世代へのヒント

英語学習のために時間をつくらず、日常の会話を英語に置き換える。

「子供をバイリンガルにはしたいが、家事も仕事も忙しく英語教室に行く時間がない。」この悩みに応えられるのが、著者の家庭で実践していた『日常会話の英語への置き換え』です。これには親の英語力を高める必要がありますが、生活スタイルが大きく変わらないため、子供が子供らしく遊ぶ時間も削られません

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まとめ

本書では、一般的な家庭でも取り組めるバイリンガル教育のノウハウが具体的に解説されています。

特に、子供の反応と成長に向き合い、その都度トライ・アンド・エラーを繰り返した経過が書かれているので、今まさに英語教育に取り組み、悩んでいる人にとって大変参考になる事例だと思います。

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要点:子供の英語力の成長にしっかり向き合う

  1. 英語を話すことは普通のこと
  2. 会話量の確保で壁を乗り切る
  3. 親の英語力向上が必要条件

学び:バイリンガル教育を通して親子で成長しよう

子供本人が英語漬けの日常生活を少しも苦痛に感じておらず、「英語を学習したことがない」と語っているところが、バイリンガル教育に成功した証と言えます。

子供の成長に向き合い、自分も成長させていく。簡単にできることではありませんが、目標となる育児スタイルだと思います。